イベント
Event「被疑者不在事件」の怪
-オープニング-
夕苑市警察署捜査一課の八重盛正雄は、苦虫を噛み潰したような表情で報告書に目を通していた。
目の前では小田切巡査が、まるでマネキンよろしく非の打ちどころの無い直立不動で、上司の次の言葉を待っている。
「……本当に、ただのシリアルキラーの線は残って無いのか?」
「状況的に見ても、間違いなく『疑在』です。現場は被害者宅で、完全な密室。ガイ者はそこで一時間ほどかけてなぶり殺された事は、検死と周囲の証言からも明白です。駆けつけた駐在署の警官が、管理会社職員と共に合鍵を使って踏み込む直前まで、物音は続いていました。にも関わらず、踏み込んだ際現場には、ガイ者のボロボロになった遺体だけが」
「わかったわかった! くそ、これも胸糞の悪い“バケモノ事件“か…」
「課長、『被疑者不在事件』と呼ぶべきかと」
八重盛は、そんな事は分かってる!という言葉を飲み込んで、苛立ちを隠そうとせずに報告書を受け取った。
「"劇団"の連中に知らせてやれ。この件に関しては、情報の開示を許可する。案件名は『Δ-20-45 野田猛殺害事件』だ。」


フィジカル8 [白兵]4Lv [反射]3Lv [運動]3Lv
メンタル3 [洞察]3Lv/[克己]1Lv
ソーシャル4 [分析]3Lv/[交渉]1Lv
〔墨衣-ナイトガウン-〕化け猫の輪郭を歪ませる妖力の霧。自行動順の頭に自動発動し猫に対する攻撃技能の達成値を-1する。
持続は1ターン。3ターン毎に使用可能。
戦闘中だれかが[洞察]か[分析]で相手の同じ技能の達成値以上を出せば解除できる。
事件発生から3時間後。卜部から劇団員全員に以下の内容が連絡。
Δ-20-45 野田猛殺害事件
状況:被害者、野田猛(28)死亡推定時刻某日22時頃
某日、一人暮らしのマンションの一室で遺体で発見される。直前まで息はあったと思われる。死因は脳挫傷、その他全身に多数の殴打痕。室内の壁全面に血痕が飛び散っており、ガイ者は壁に全身を打ち付けられて死んだものと推定。
右足首が千切れかかっており、肉が削ぎ落とされ、まるで大型の肉食獣の牙にやられたかのようとの所見も。
同様の事件が再発する前にこの事件を引き起こした妖を誅滅しよう。
イベント時の行動の選択肢
ロール部屋にて、事件解決のための行動ロールを行い、更にダイス判定を行って下さい(※絆は使用できません)。
・現場に赴き、現場を保護する警察の立ち合いの元、妖力を感知する。[克己]
・被害者の野田猛のパーソナリティを調べる[分析]
・被疑者の野田猛の最近の行動について、周囲の人に聞き込む[交渉]
・真鍋哲平について、聞き込みで調査する[交渉]
・半グレの他のメンバーの安否を確認する[分析]
・西野について、直接会いに行く。[交渉]or[運動]
・戸叶について、直接会いに行く。[交渉]or[運動]
・灘について、直接会いに行く。[交渉]or[運動]
・上村殺害現場から、妖力の残滓を追いかけ、現在の犯人の位置を絞り込む[克己]
・真鍋の自宅に踏み込む[運動]
・病院にいる真鍋に、直接話を聞きに行く[交渉]
・病院にいる吉崎の容体を、祓手として確認する[克己]
・病院にいる吉崎の母から、事情を聞く[交渉]
・吉崎が、事件発生日の夜20時から、何処に向かったのかを調べる[交渉]
・吉崎の部屋を調べる[分析]
・杜若が発見した、猫の亡骸が埋められていると思しき場所で、亡骸を掘り起こし、呪法を解呪しようとする[克己]
・黒猫ノーチェの亡骸を劇団に持ち帰り、封印した死霊ノーチェを封印から一時的に解き放ち、その上でノーチェにかかった呪いを解呪する[戦闘]。
なお、ストーリー内時間は、現実世界の一日を、大まかに約二時間と計上しますが、一日以内での解決を想定しています。
解決すれば、このイベントに参加したPC全員は、経験点30点を得ます。加えて、貢献度(参加回数など)をGMが判断し、+10~20の加算があります。
イベントで行われた判定とその結果となる情報の開示を順に表記調査の成功値 総計:87 (20 05/3 10:30)
笹木の交渉[分析]後、警察から以下の情報が届けられ、全員のスマホに転送される。
被害者野田猛は、半グレと呼ばれる準暴力集団の現トップであること。元アマチュアボクサー。現在はBar経営、スカウト派遣業等を行っていた。仲間は凡そ10人とみられる。細かいメンバー構成は警察も把握していない。
事件の起こる三日前に、野田猛のグループのメンバーと思しき男性、真鍋哲平(22)が、夕苑市民病院に搬送されていた事が判明した。彼は警察への匿名による通報で、夜の繁華街の一角にあるテナントの入っていないビルの空き室の中で発見された。現在、意識は回復したが、外傷激しく顎の骨も折っているため詳しい事情はまだ確認できていないが、警察からも事情聴取のため人をやるつもりでいる。なお、野田が殺された事は、調査で必要なら口外して構わない。
笹木の交渉後[分析]後、警察から情報の追加が送られてくる(物語時間内、07:00)
真鍋哲平は現在も無事。両親が病院からの連絡を受けて、泊まり込みで様子を見ている。彼を暴行したのは、野田猛と、同じ仲間だった半グレのメンバー数名と判明。意識が回復したのは、事件発生日の前日の午前4:00。
現在メディカルチェックを受けているが、命に別状はないとのこと。だが、放置すれば命は危なかった。
ティオの[克己]、によって判明した内容
野田猛を殺害した犯人は、妖力の残滓を色濃く残していた。遁走した方角も絞ることが出来た。その情報は、犯人を絞る材料となるだろう。
クチナシの[分析]、司狼の[分析]で判明した内容
野田猛。過去に闇金で回収人もしていた。その頃から、様々な違法行為を行っており、恨まれている人間は数知れず。だが、抜け目のない人間で脅迫材料などを保持し、社会的な制裁を免れていた。野田のグループ名判明。経営していたBarも判明。メンバーの名前のみ手に入れる事が出来た。
笹木の交渉後[分析]によって、得られた情報
野田猛と直接会う事が出来るメンバーは五人。その中に真鍋も含まれていた。
時間にして。07:00現在。各メンバーの最終発言時間は以下の通りです。
野田猛[12時間前] 真鍋[110時間前] 西野[4時間前] 戸叶[0時間前] 上村[7時間前] 灘[2時間前]
また、SNSで調べて居ると、真鍋には、付き合っていると思しき彼女が居ました。名前は、吉崎幸子(25)
クチナシ、燕の[克己]および、ティオの[運動]によって、得られた情報
妖気の残滓を探知しながら、三名は街中を目立たないように移動。ティオが怪しいあたりを探すように、目撃されない範囲で辺りを捜索。
結果、その姿を捉えるまでには至りませんでしたが、更に、妖が居ると思しきエリアを絞り込むことが出来ました。
また、近づくにつれ、敵の妖気から、敵のポテンシャルが高いもので有ることが判ってきました。
笹木の[分析]によって得られた情報。
笹木の指摘を受け、警察が人員を動員。
結果早朝、上村の死亡を確認。マンションの自宅内にて。死因は胸部圧迫及び、頸部からの失血死。胸には丸い圧迫の跡が残されている模様。現在鑑識が細かい調査中。近隣住人は目立った物音は聞いていない。
野田や真鍋に関する新たな情報は無し。
西野、戸叶、灘とは直接コンタクトがとれる個人情報を警察から入手。なお、他の三人は生存確認。その際、戸叶は警察に真鍋の安否を知りたがっていた。また、三人とも、野田及び上村の死亡の事実は知らないし、知らせていない。
杜若とわらびの[運動]&[交渉]、ティオの[運動]で得られた情報。
戸叶は無事。真鍋への私刑(リンチ)に加わったものの、死なれるのは寝ざめが悪いと警察に通報した本人だった。
真鍋が私刑を受けたのはオレオレ詐欺の金の受け取りでヘマをしたから。野田、上村が殺されている事を伝えるが、その事実は知らなかった。
犯人の心当たりは無いらしい。恨みを受けた相手は、山ほど居るので特定なんてできない。今のところ戸叶に変わった様子は無い。
灘は無事。彼も、真鍋の私刑(リンチ)に加わっていた。同じく、野田、上村が殺されていた事は知らなかった。犯人の心当たり無し。
司狼の[克己]で得られた情報。
市立病院周りで、現在(10~13時)、妖の気配は有りません。また、妖が訪れた残滓も感じられません。
杜若とわらびの[運動]&[交渉]、ティオの[運動]で得られた情報。
西野は無事。野田は凶暴な男で、ミスを許さず私刑を断行。上村は一番のお気に入りで率先して手伝っていた。SNSは苦手であまり更新しない。
笹木の[分析]によって得られた情報。
上村の検死結果が警察から入って来る。喉元を大型獣の歯のようなもので切られていた。胸部圧迫は、丸くて硬い何かで胸の上を押さえつけられていたようで、胸骨がつぶれていた。ただ、即死ではなくゆっくりと失血死したようだ。部屋の中には、上村がのたうった後が残されていた。死亡推定時刻は午前2時~3時頃。彼のスマホには、深夜2時頃に彼の友人からの着信と留守電が何度か。
吉崎幸子についてSNSで調査。市内で母と二人暮らし。役所勤め。真鍋と恋人関係で、定期的に真鍋のマンションに通っている。
真鍋が病院に運ばれた翌日。野田が死亡した時間から遡って、約5.6時間前に、インスタで「にゃんこが家に来たよ」と、一言と共に黒い猫の写真をUP。黒猫は首輪をしていた。それ以外のSNSをUPした所では、目立った内容は無し。強いて言えば、「今日の占い結果」等を良くUPして話題にしている。吉崎の連絡先(SNSアカウント)や電話(自宅)は手に入れることができた。
司狼の[交渉]で得られた情報。
入院中の真鍋とメール交換。「猫を飼ってた知り合いはいない?」という問いに対し「俺が飼ってたよ。でも、一昨日に親が部屋を見に行ったら、居なくなってたみたいなんだ」と返答アリ。ちなみに真鍋の今の携帯は「飛ばし」の携帯で、司狼にメアド知られても、まぁいっかと思って教えてくれたアドレス。
13時〜16時(4/29、複数チャット進行)の行動まとめ
笹木、警察署内にて八重盛課長と腹を割って話をする。警察からの、より全面的なバックアップの約束をとりつける。鍋島猫騒動の話も耳に入れる。
杜若、ティオ、わらびの三名。お昼時のお腹をクレープで満たしつつ、真鍋邸へ。
杜若のぶっつけ本番のピッキングで、上手く屋内に入ってみれば、中には大型四足獣の姿が。緊急事態につき、わらびが笹木さんに応援を要請。到着した笹木と、杜若、ティオにより結界構築。戦闘開始。
〔墨衣-ナイトガウン-〕の効果で、序盤押され気味。笹木がそのスキルの効果を看破。更に押されつつあるも、笹木が杜若に縁を12譲渡し、絆を8点乗せた葵の鞘奔りという最大火力をぶつけて圧倒。更に、笹木の〔言霊〕を受け取ったティオが鞘奔りを当て、倒す事に成功した。
その後、結界でそのまま封印。妖の大型猫は三角柱の中に捕らえられた。
笹木による[交渉]の結果、警察は周辺住民への説明や現場の保護を担当。調査は短時間かつスムーズに行えるだろう。
ティオの[運動]での捜索は、あたりを散らかさずに行われた。グラビアが表紙の週刊少年誌があるだけ。
杜若は妖気を探ると、部屋には小さなペット用の屋根のついた小屋があり、その横で休んでいた様子が窺い知れた。
さて、妖を封印し終えた直後、警察館に事情を説明していた笹木に、警察無線を通じて八重盛から連絡が入る。
「笹木さんが教えてくれた吉崎幸子だがな。うちの者に張らせてたんだが…、どうやらついさっき自宅内で突然意識不明になって倒れたらしく、市民病院に救急車で運ばれたらしい。救急隊員は、まるで脳死状態であるかのようだと言っとるんだが…だとしても説明がつかん生体反応だそうだ。笹木さん達も、病院に行くなら、俺の方から捜査協力するよう伝えておく。付き添いで、吉崎の同居してる母も病院に来てるそうだ」
16〜19時(4/30日、チャット進行も含めて)行動まとめ
司狼の行動。成功値1。メールで真鍋に真犯人が捕まったと伝える。
真鍋からは、とばしの携帯からのメールで「そうか…良かった。殺人犯にうろうろされてちゃたまんねぇし。知らせてくれてサンキュー。でも、誰に頼まれてこんなことしてんの?」とメールは返ってきました。
笹木の行動。成功値4。警察署に顔を出して、情報共有と、今後一層の情報共有をお願いする。
八重盛が小田切を連れて顔を出してきた。小田切は、笹木に一礼してから資料を読み上げる。「後でコピーをお渡ししますが…。吉崎と野田には接点がありました。吉崎の両親が離婚する切掛は、野田が昔所属していた闇金からの取り立てだったようです。それと、吉崎の最近の足取りですが、SNSの更新とほぼ同じタイミングで、黒猫を家に連れ帰ってる事がわかっています。同居する母からの証言です。また、野田が殺された日の20時頃、家から出掛けています。あまり使わない大きめの鞄を持っていて、普段はこんな時間から出かけないのにどこへ行くのかと尋ねたところ、憔悴した表情で「ごめん、ちょっと…」と、理由を話さずに出掛けたそうです。そして帰宅したのはその翌朝、つまり今朝の朝9時頃。どこに行ったのか理由も話さず寝込んで仕事も休んでいたので、心配していたと…。それが、病院に担ぎ込まれた時、吉崎母から聞いた情報の全てです」
八重盛は、笹木を労って声をかけた。
「餅は餅屋。ここまでは俺達でも出来るが、不可解な昏睡は笹木さん達の専門だ。済まないが、頼む」ぽんぽんと肩を撫でて、八重盛は真剣な表情で笹木に託した。
ティオの行動。成功値3。謎の昏睡状態の吉崎をお見舞いし、克己で妖力を調べる。
結論。ティオには分からず。しかし、分からない時はわかる人を呼べば良い。卜部が連絡を受けて彼女を診る。そしてこう伝えた。
「真鍋の猫とリンクするような、そんな呪法が掛かっているようだ。しかも意地が悪いのは、猫とのリンクが切れた段階で、この子を昏睡状態にする保険もかけてある。誰がこんな悪辣な呪いをかける?」卜部は困った様子で腕を組む。
「…この独自のやり方…解呪の方法はあるけど…。ティオちゃん、出来れば探して欲しいものがある。全員に伝えて。「真鍋の猫の亡骸が埋められてる場所が有るはずだ。それを探して」とね」
杜若の行動。成功値0。真鍋へと直接話を聞きに行く。
結果として、会えませんでした。真鍋はナイーブになってるのか、知らない人との面会を断っている様子です。封印されたままの猫を持ち歩いてるからと言って、何か不都合が生じたりはしません。勿論、それをそれなりの術者が手に入れれば、解除なり何なりは出来るかも知れませんが。
19時~21時(5/1日、チャット進行も含めて)行動まとめ
ティオの行動。真鍋に直接話を聞きに行く。わらびも同行。
真鍋は、彼女の吉崎についていきなり名前を出されたので不信感を抱く。「打ち所がわるかった」等の発言に激昂した真鍋はそのまま面会謝絶。
わらびが、不破を呼んで来て、色々と宥めさせた。成功値、ティオ1+わらび3-2(悪印象)=2
・猫は吉崎にも懐いていた。
・猫は、昔、自分が車上荒らしをしてた時、車の中に取り残されて脱水症状で死にかけていたのを見つけて、助けた。
・猫の名前は、ノーチェ。スペイン語で夜。吉崎が名付けてくれた。
杜若の行動。自分の車で夜のRAPITAへ。風船を配る祓手、クェンタの元へ話を聞きに行く。
・結界と封印については知らず。専門外らしい。
・猫と吉崎の関係性について。使い魔との契約の儀式を行ったのでは無いか? という推察。動物に血を舐めさせて、交感させる呪法。ウィッチクラフトでは基本らしい。これは吉崎が自主的に行った筈。
・さらに、リンクが切れると昏睡させるトラップが仕掛けられている。その事は吉崎は気づいていたか、怪しい。
・通常の使い魔の儀とは、猫を死霊化させている点が違う。
・この地の呪いを用いて、死霊化させている可能性が高い。
・埋める場所、と聞いて杜若が思い浮かんだ場所⇒夕苑市自然公園。そこに埋められているのでは無いか、との示唆。
杜若、クェンタのアドバイスに従って、夕苑市自然公園で運動で、亡骸が埋められている場所を探す。成功値6。
・猫の亡骸あると推察される、掘り返した後のある場所にたどり着きました。
笹木の行動。警察署内で、八重盛から受け取った資料を読み返す。鍋島猫騒動の話と、今回の事件を照らし合わせ、ほぼ配役が整った事で、警察に対しても吉崎が被疑者である可能性を示唆した。
・警察内部の八重盛としても、吉崎を重要な人物として監視下に置く。
・吉崎の母から、家の中を捜索する許可は得る事が出来た。成功値2。
(まだ家屋内の捜索までは行っていないと判断して、得た情報はここで止めています)
司狼の行動。情報の整理を行い、真鍋にはメールで謝意を示した後、病院に向かった先で、笹木からの連絡を受け、吉崎母に面会を申し込む。だが、折り悪く断られてしまった。成功値0。
21時~(5/2 イベント判定結果)行動まとめ
笹木の行動。吉崎邸にお邪魔して、吉崎の部屋を調べる。成功値7。
・吉崎の部屋には、猫と過ごしたと思われる痕跡が確かにあった。処分しきれていない殺鼠剤等の毒物の容器残りもあった。また、血を出した後を手当てしたと思われる形跡も。
・吉崎のスマホが残されていた。フリックして9点を一筆書きになぞる形式のロックが掛かっていたが、笹木はそれをスマホの表面に貼られた保護フィルムに残る跡から推測し、解除した。
・スマホの直近の検索履歴を遡る。「夕苑自然公園」「魔術の心得」「殺鼠剤の販売先」「404 not found」「復讐のやり方」「完全犯罪」。特に「404 not found」の頁を何度も開いている形跡があった。
・また、真鍋へLINE、メール、電話で何度もコンタクトをとろうとしていたようだ。一方真鍋からは返信が一度もない(真鍋はリンチされた時、スマホも壊されていた筈と笹木は知っている)。だがそれは野田が殺された日の朝、戸叶からのLINE「真鍋は野田さんにリンチかけられた。けど大丈夫病院に運ばれてる」を最後に止んでいる。
・吉崎は戸叶に、リンチの詳細や、容体を詳しく尋ねているが、戸叶からそれ以上の返信は無かったようだ。
・吉崎のスマホには、真鍋との写真や、真鍋の猫とも撮った写真などが多く残されていた。
司狼、杜若、ティオ、燕の行動。埋められていた場所が判明したので、真鍋の猫ノーチェの亡骸を見つける。成功値、司狼1、杜若2、ティオ2、燕1。
・黒猫ノーチェの亡骸が入っていると思しき、大きめの鞄が掘り出されました。
・皆、そこから妖気を感じ取ります。
・卜部さんが、LINEの連絡を読んでやって来ました。専門知識を駆使して(皆さんの成功度を元に)、幾つかの事実を告げます。
・「黒猫ノーチェは恐らく、魔女の扱う魔法“ウィッチクラフト”の術理に従って、使い魔契約を結ばされていますね…。と同時に呪いと共に命を奪われています」
・「今、死霊化したノーチェは封印され、その結晶は杜若君が持っている…」
・「吉崎さんを昏倒させている呪いは、恐らく吉崎さん自らが進んで行った術式のせいです。そしてその術式には、本人が知らない罠が仕掛けてあった…」
・「封印された瞬間、この亡骸に掛かった呪いが発動し、吉崎さんへと飛んでしまった…。その呪いをここで消しましょう」
・「……ダメですね。呪いの解除を行おうとしているんですが、死霊ノーチェが封印されているのが、仇になっている。結界による封印は強固です。その存在を絶対的に固着させ安定させる…。それゆえに、死霊化したノーチェにもリンクしている呪いまでもが、強固に固着されてしまっています」
・「一度、死霊化したノーチェの封印を解いた上で、この亡骸に掛かった呪いを解呪する。それで、この事件は解決します」
・「猫の亡骸を持ち帰りましょう。僕らの劇団のレッスン場の中なら、戦闘になっても安全でしょうから」
(最終日の行動結果)
司狼、杜若、ティオ、燕は、劇団内のレッスン場内にて、死霊ノーチェの封印を解除。解呪しようとする卜部へと、襲い掛かるに見えた彼と交戦。これを見事に撃退した。
・死霊ノーチェと、吉崎にリンクするように掛かっていた呪いは解除。ほどなくして、病院で吉崎が目を覚ましたという報告が入った。
笹木は、「404 not found」と表記されていたインターネットサイトについて調査した。成功値6.
・結果は、このサイトは既に存在しないという事も分かった。また、その痕跡も見つける事が出来なかった。
・あらゆる可能性を笹木は考えたが、痕跡はある筈なのに、痕跡が見つけられなかった。残された可能性で考えられるのは、この画面が、別の何かに見えたという呪いに彼女が掛かっていたという線だ。だが、それ以上は、雲をつかむような話だった。
イベント終了
開催期間4/25~5/3
結果:グッドエンディング
MVP 笹木
野田、上村を殺したのは、真鍋哲平の恋人、吉崎幸子と死霊化した黒猫のノーチェでした。ノーチェは、劇団メンバーの手で倒され、施されていた呪いも解呪されました。そのままノーチェは天国に旅立っていったことでしょう。一時期、昏睡状態にあった吉崎幸子は、真鍋の前で意識を取り戻しました。以後、八重盛警部と小田切巡査が、彼女の話を聞く筈です。彼女は被疑者ではなく、当面は、重要参考人として扱われるでしょう。呪いで人を殺したという罪を裁く法律は、まだこの国にはありません。
笹木:75点(30+20(活躍)+10(戦闘)+15(MVP)) | 杜若 蒼:70点(30+20(活躍)+20(戦闘)) | ティオ:55点(30+5(活躍)+20(戦闘)) |
草野 司狼:50点(30+10(活躍)+10(戦闘)) | クチナシ:35点(30点+5(活躍)) | 燕わらび:30点(30点(基本)) |
-エンディング-
私はその日の夕方、いつものように彼の家へ顔を出した。仕事が終わり夕食を作ってあげようと思って。年下の哲平は、野田の下で違法行為に手を貸している青年だった。
……どうしてそんな男と付き合うことになったのか、自分でも奇妙に思う。野田がこの街で、半グレをしていると知ったのは、彼と付き合い始めた後の事で、哲平には彼とは縁を切って真面目に働いて欲しいと言ったのだけれど、彼は取り合わない。
本当に、男って思い込みが激しい…。
「……あれ?」
インターホンを押しても、反応が無い。どうしたのかな? LINEで「今来たよ」と送るがリアクションは無くて…仕方なく、合鍵を使って鍵を開ける。チェーンロックが掛かってたら…。
「あれ?」
もう一度同じ声が漏れる。チェーンロックはかかってない。中に入り、ドアを閉めると、奥から黒猫のノーチェが歩いてきた。
「どうしたの? お前…ご主人様は?」
そう言って、私は良く懐いた猫を抱き上げて腕に抱えた。どうやら無人、まだ彼は帰宅していないようだ…何かあったんだろうか…不安がよぎった。
私は夕食を並べたテーブルの前でスマホを弄っている。
哲平に何度も連絡を試みたが、返事は無かった。相変わらず、不安が胸の内でずっと鎌首をもたげたままだ。スマホを触り続けていると、私はおかしくなりそうで…。もう諦めて、私はすっかり冷めきった料理に手を伸ばし、いただきますと食べ始めた。美味しい。上手くできた。その味が口いっぱいに広がるにつれ、喉の奥がうっとえづく。私は泣きそうになってるんだなってそう思うと、手にしていたお茶碗や箸が、ひどく重く億劫に感じて膝の上に転がしてしまった。
「あ…ごめんね、ノーチェ」
転がったお茶碗の中身を、ノーチェが駆け寄って来て匂いを嗅ぐ。私はこの子を抱き上げて膝の上であやした。この子が安心したように丸くなるのを見て、私はその温かさに救われた思いで、綺麗な背中を優しく撫でる。
私は翌朝、太陽があまり昇らないうちに哲平の部屋を出て家に帰ることにした。
ノーチェも一緒に連れていくことにする。彼の事を思うと、息が詰まりそうだった。連絡は一向に繋がらない。考えすぎてしまって昨夜はよく眠れなかった…。このままノーチェを置いて行って、もし哲平が帰って来なかったらどうしよう…。
私はこの子が、彼の家に来た経緯を知っている。車の中に置き去りにされていたこの子を置いていてはいけないと…、私はこの子を彼の家に置いてあった大きめの鞄の中に入れて、連れていくことにした…。この子は暗い方が好きなのか、嫌がらずに入ってくれた…可愛い子…。
ノーチェを私の部屋に置いて、そのまま仕事に行く。母さんには彼氏の猫を預かって来たと伝えておいた。
団地なので、飼ってはいけない場所なのだから、どうするのって母さんには言われて、その場は謝って押し通した。仕事から帰ってきて部屋に入ると、あの子はおとなしく部屋の隅っこでうずくまっている。元々、哲平の部屋の中でも驚くほどおとなしく過ごしていた子だ…騒いでいたという話も母さんからは出なかった。
「…あの人は……」
何処に行ったんだろうね、という言葉が口をついて出なかった。口にするのも怖かった…。また、父が居なくなった時のように、どうしようもない現実が当然襲ってくるのではないか、という予感があった。スマホで連絡を取ろうにも、全く音沙汰が無くて…。私はノーチェの温かさに縋るようにして、この子を膝の上で抱いてタオルケットにくるむ。ノーチェは気持ちよさそうにしてくれた。私にはこの子の温かさが愛しい…安心する…。
少し気持ちが穏やかになって、好きな占いサイトを見たら、結果は最悪だった……見なければよかった、もう寝よう…。
目が覚めて、わたしは仕事を休むことにした。
どうしてこんなに不安に押しつぶされそうになっているんだろう…。私は弱いな…、弱いまま大人になってしまった…そう思うと、小さい頃の野田に滅茶苦茶にされた私の人生を思って、暗鬱とした気持ちになってしまう…。母さんの為にも、もっと気持ちよく笑える娘で居たかったな…。
昼前に戸叶という人からLINEが。私は彼の連絡先なんて知らなかったけど、彼は私の事を知っていた。哲平の仲間。その哲平が、野田にリンチされたという…。
どうして。
何があったんだろう。戸叶はそれ以上、私には何も教えてくれなかった。病院に運ばれたらしいけど…その病院がどこかも教えてくれない。
なぜそれだけを私に?
本当に彼は運ばれたんだろうか?
…意識不明なんだろうか。
どうして…どうして…
スマホで検索していたら、呪いの頁が出て来た。現実的な呪いの方法。私の手元にあるものでも、これは可能らしい。叶う、叶うんだ。
叶うなら、お前も叶えたいよね。
こんな事が許されていいはずがない…。
お前と私で…一緒に…。
わたしの手首からこぼれたそれを、心配そうに舐めてくれた。ごめんね、ごめんね。
わたしを許して、あなたをこんな目に合わせる、わたしを許して。
わたしはもう、わたしはもう…、。
わたしは、わたしは、あいつらに報いを与えたいの。
こんな、好き放題されっぱなしな現実、それを見て見ぬふりで生きていくのはできない。
死ね、死ね、野田。
お前がやって来たことが、何年も経てわたしの手で報いとなってお前に降りかかるんだ、後悔して、絶望しろ、わたしや哲平の苦しみを抱いて死ね。
公園のこの辺り…ここならきっと大丈夫。ここで…この子が復讐を…わたしの代わりに……あぁ、疲れた……気が遠くなる……体が重い…。
わたしは公園で気絶していた。
気絶した後、目が覚めた時誰か知らない人の家にいた。気を失っていたわたしを運んでくれたというその人は、見も知らない女性だった。わたしはその人の家で、お茶を頂き、シリアルまでご馳走になって、そして家に帰って来た。ふわふわとした経験だった。世間の喧騒から断絶されたような家。わたしは夢見心地のままで、自分の部屋に戻り、そして思い出した。
__ああ、わたしはあの子を殺したんだ。
あの子が舐めてくれた手首の傷が疼く。舌先で、心配するように舐めてくれたあの子。わたしが名付けた子、ノーチェ。私が殺してしまった、可愛そうなあの子。あの子の瞳は金色で綺麗で、私を心配そうに見つめてくれていた。あなたは天国へ行くでしょう。そうよ、そうでなければおかしい。なにもかもがおかしい。最後にこうしてあなたに会えて良かった。私は……ノーチェ…ごめんなさい。あなたの全てを、私が奪う権利なんて無かったわ……本当に、ごめんなさい……。
「___幸子」
あの子が舐めてくれた手首が温かい。あの子の舌じゃなく、あの人の手、そうだこれは
「___幸子」
「幸子が起きました! 幸子が! 目をあけました!」
哲平の声がした。手首を握っていたんだ。私は自分が見ているものが、あの子の、ノーチェの後ろ姿じゃなくて、懐かしい哲平の顔だって、やっと判った。顔中に怪我をして、痛そうだけど、哲平は子どもみたいな笑顔で、心配したり怒ったり、安堵したりしてくれた。
ごめんね、哲平。私はあの子を、ノーチェを。
「幸子、ごめんな、心配かけて」
「本当だよ。本当に、私、酷いこと…」私の声が遠く響く。
私は彼に抱きしめられた。
私は、彼の腕の中で泣けた。泣ける私が許せなかった。
酷い、酷いことをした私を、彼は両腕で抱きしめてくれた。
ノーチェ、ごめんね、起こしに来てくれたんだね。
あなたのご主人様に、私は全部話すよ。
あなたが起こしに来てくれたから。
わたしたちはもう、私なんだから。
終了したイベント内容の纏めを、下記に、記載していきます。