世界観

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-これは、架空の都市、夕苑(ユウゾノ)市を舞台とする、人と妖(アヤカシ)との戦いの物語-

神代より在る超常は、消えて失われた訳ではない。
人知を超えた力を持つ名前すら必要としない事象は、ただ「妖しいもの」としてあらゆる摂理を歯牙にもかけず、遮る事のできない夜の帳のように全てを闇に溶かしていく。
そんな災厄によって命の灯火を掻き消された者達の中に、稀に、極めてごく稀に。
超常による、摂理への暴虐に対する意趣返しのように、ことわりを謀りて黄泉帰る者が顕れ始めた。
彼等は死より目覚めし時、ひと振りの刀を携える。
超常の力の一端を摂りこみ、自らの魂の炉にくべて鍛え上げたかのような刀には、その定めを示すかのように、妖を誅滅する力が備わっていた。

-時は平成32年。舞台は日本のとある地方都市-

夕苑市舞台となる架空の都市。人口約40万人。山麓から入り江に流れ込む三本の川によって出来た沖積平野上に広がる。電力供給は火力と水力を併用。主な産業は造船・重工業。交通の便は良く幹線道路も新しく、近年の治水工事の完成によって水害も取り除かれ、人口が急激に増加した。学校や大学も多く、増加した人々の定着にも成功したとされ、地方政治のモデルケースとして盛んに取り上げられている。
       夕苑市では近年、人知を超えた災害が徐々に増え始めている。それは、《妖(アヤカシ)》と呼ばれる超常の存在による殺戮。世に言う妖怪、魑魅魍魎、怨霊怪異、そんな存在が人の命を奪い、魂を喰らう事件が後を絶たない。妖の悪意は、霊力・呪力となって人を簡単に死に至らしめてしまう。妖達は、普通の人間の目には映らないし阻めない。彼らを止めることが出来るのは、祓手と呼ばれる異能持つ者たちだけである。
祓手凶祓い。調伏師。悪鬼羅刹、怨霊怪異、世に妖と呼ばれる魑魅魍魎を退治するさだめをおった者達の総称。彼らは〔異能-スキル〕を持ち、その力だけが唯一、妖を調伏せしめる事を可能にする。古来より、日本では陰陽寮を始めとした、祓手達の集団が存在し、それは現在も国家の体制下にあって妖達の脅威を退け続けている。__だが近年、ここ夕苑市では、それとは異なる在りようの祓手達が、現れ始めていた。
幽者(カクジャ)「幽者(カクジャ)」と呼ばれる者達。彼らは、夕苑市で近年増えつつある、今までとは異なる祓手だ。妖に命を奪われた者達の中から、ほんのほんの一握り、何の因果か奇跡か判らないが、摂理に反して甦った者達。彼等はその身に〔異能-スキル〕を宿していた。願い命じれば現れる超常の『刀』を携える事で、その力は発揮される。計り知れない身体能力の向上と、特殊な〔異能-スキル〕を操る能力。さらに、刀を携えてなくても、一般人では認識出来ない妖の存在を、ごく自然に知覚することができるようになっていた。ゆえに彼らの日常は、常に妖の世界と重なり合っている。
幽者を巡って幽者と呼ばれる者達は、基本的には、生きている人間達と変わらない姿をしている。だが、彼等は一度確かに死んだ人間であり、そういう意味では幽世の者だった。更に、その身には妖の持つ異能に似た力を宿し、常人を遥かに越える身体能力と耐久力を宿している。彼等が、妖以上に日本という国から警戒されるようになるまで、そう時間はかからなかった。

最初の幽者と言われた、『一色正臣』は、仲間達と共に日本政府や他の祓手達と人知れず戦った。秘密裏に、夕苑市に送り込まれた特殊部隊や祓手との戦いの中で、一色は自らの刀の銘を聞き、異能を研ぎ澄ませていった。その戦闘能力は、上級妖すら凌駕すると言われた。だが、その戦いはある時を境に沈静化する。一色の恋人だった女性が、一色を阻むために自死を選んだのだ。一色は彼女の亡骸を抱いて姿を消した。それ以降、彼は姿を表していない。そして、抵抗をやめた一色の仲間達によって、一つの事実が明らかにされた。曰く、「幽者は、夕苑市から外には出られない」のだと。

この事実と、一色の仲間達の協力によって、政府による幽者への秘密裏の弾圧は収まった。夕苑市における、妖事件の被害者は今も増え続けており、その数に比例して幽者の数もまた増えていく。幽者を押さえ込む政策は現実的ではないとされたのだ。以降、幽者は積極的に保護され、妖事件に対して、祓手達の中でも率先優先して現場に投入される方針が政府より決定された。
ブレードアクター&アクトレス夕苑市の、幽者を中心にした祓手の組織。それが『劇団-ブレードアクター&アクトレス-』である。表向き「時代劇やアクション映画や舞台の殺陣などの激しいアクションスタントを得意とする若手の劇団」として一般的に認知されている。だがその実は、幽者を纏め、妖事件の対応にあたる秘密組織。そして、PC達が所属するコミュニティでもある。